売上とは
「商売」は「お客さまから見て、価値のあるものを出す」といった意味でした。
では商売を行う事で得る「売上」とは、一体どういうものでしょう。
辞書などで調べてみると、「商品などを売って得た代金の総額。」などと紹介されています。
世間一般にあるマーケティングの本では、
「売上」=「客数」×「客単価」×「購買数」
などといった計算式で表現されています。
この式では、今の「売上」を(1)とすると、
「売上」(1)=「客数」(1)×「客単価」(1)×「購買数」(1)
となります。
「売上」を2倍の(2)にするには、
- お客さまの数を2倍(2)にする
「客数」(2)×「客単価」(1)×「購買数」(1)
- お客さまの購入単価を2倍(2)にする
「客数」(1)×「客単価」(2)×「購買数」(1)
- お客さまに買っていただく回数を2倍(2)にする
「客数」(1)×「客単価」(1)×「購買数」(2)
- それぞれ25%ずつ増えるようにする
「客数」(1.25)×「客単価」(1.25)×「購買数」(1.25)
(≒1.95 約2倍となります。)
では、この式にあてはめて考え、「客数」「客単価」「購買数」が、それぞれ10%増えたと仮定してみましょう。
「客数」(1.1)×「客単価」(1.1)×「購買数」(1.1)
=「売上」(1.331)
売上は1.3倍以上になることがわかります。
身近にある、企業さんの工夫を、それぞれの項目に分けて見てみましょう。
「客数」を増やすには、初回のお客さまキャンペーンなどがわかりやすい例だと思います。携帯電話の新規加入キャンペーンや、ミニコミ誌(ホットペッパーなど)にある飲食店のクーポン券などがわりと身近にあります。
「客単価」を増やすには、オプション販売や、サイドメニューなどがわかりやすいと思います。車を購入したことがある方ならご存知でしょうが、最初に提示された価格より高い価格で購入しているはずです。カーナビ、ホイール、サンルーフ、追加保証などなど。ファミリーレストランでは、セットメニュー、ドリンクバーやサラダバーなどがあります。
「購買数」を増やすには、ポイントシステムなどがわかりやすいと思います。航空会社は、マイレージシステムを取り入れています。雑貨屋さんなどのポイントカードもポイントシステムです。ポイントシステムの他には、雑誌の定期購読や、ガソリンスタンドのプリペイドカードなどもあります。
と、ここまでは一般的なマーケティングのお話し。手段のお話しです。これだけでは、お客さま側ではなく、企業側からの目線が強いです。
「商売」は「お客さまから見て、価値のあるものを出す」といった意味でした。
「売」は「価値のあるものを提供する」といった意味です。
「上」は与えるの謙譲語で、敬うべき相手に物をさし上げるといった意味です。
それをふまえて考えると「売上」は、「敬う相手に、価値のあるものを提供する」といった意味になります。
ですので、「売上」を考える際、
「客数」という考え方は、今よりも多くのお客さまに、価値を提供する。
「客単価」という考え方は、今よりも大きい価値を提供する。
「購買数」という考え方は、今よりもたくさん(の回数)価値を提供する。
まずはこのように考えてみてはいかがでしょうか。
もちろん「客数」「客単価」「購買数」といった、お客さま目線ではない(売り手側目線の)単語はあまり使わないように考えながらです。
これらは、マーケティング用語(お客さま目線)ではなく、セールス用語(売り手目線)ですから。
(自分のお気に入りのお店が、自分のことを「客数:1、客単価:3,500円、購買数:年3回」と考えていたら、そのお店で買物をするのが嫌になってしまうと思いますから。)
特に「客数」と考えてしまうと、お客さまが見えにくくなり、どうしても「集客」テクニックなどに目がいってしまいがちです。
ちゃんとした考え方を持っていないと、テクニックに使われてしまいます。
豆知識
このページのURLには revenue を使いました。
売上ですので sales にしようかと考えていたのですが、翻訳サイトで「売上」を英語で何というか調べてみると、どのサイトでもよくわかりませんでした。
そのような時は、日向清人先生のサイト(というか記事の集まり)を、以前から頼りにしています。ビジネスで使う英語はもちろん、専門的な内容に関してもわかりやすく記事にしてくださってますので、いつもありがたく読ませていただいています。
日向先生の「売上高は英語で何と言うのか」のページに「モノなら sales 、サービスなら revenue 」とありましたので、モノを通してサービスを提供することが大事なことだと考えましたので、 revenue を使いました。
日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク ( eng.alc.co.jp )